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コラム

「やさしい動画デザイン」とは何か?字幕・モーショングラフィックスで“伝わる”映像を作る方法〜郡山市制作事例

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    目次

    今回は外国人住民向けに地方自治体が取り組まれている事例を紹介いたします。

    なぜ動画にデザインが必要なのか?

    動画の視聴スタイルが多様化し、スマホやタブレットでちょっとしたすきま時間に効率よくビジネスや学習コンテンツ、生活情報などを得る「タイパ重視」層が増えてきました。
    移動中やカフェなど音を消して楽しむ状況や海外発信の動画も多く、字幕やテロップなどの文字情報はもはや不可欠。
    さらにイラストやモーショングラフィックスなどを効果的に組み合わせて視線を誘導することで、より伝わりやすくなる。
    動画デザインは、見た目のインパクトや美しさだけでなく、視聴者の理解を促進するための重要な要素なのです。視聴者に伝える。
    わかりやすく、正しく伝える。当たり前のようでとても難しいことです。
    明確なメッセージとストーリー、ターゲット層に合わせたデザインや視覚効果など、さまざまな要素を組み合わせることでより効果的な動画を制作することができます。
    そして、その軸にあるのが「やさしさ」。
    伝わる動画をつくるのにUX
    への配慮は欠かせないものです。

    今回は郡山市多言語動画制作事例でデザインを担当してくれたパートナーのお二人と座談会形式でプロジェクトを振り返りながら「伝わるデザイン」について掘り下げていきます。

    郡山市外国人住民のための多言語生活情報動画(郡山市) – 映像制作会社クロステリア

    <座談会参加メンバー>
    linen株式会社 https://linen.co.jp/
    代表取締役CEO  新藤 麻実さん
    グラフィックデザイナー 松本さくらさん
    クロステリア
    代表 藤保 修一

    linen株式会社さんは「人に伝えたい想いを目にみえるかたちにする」というコンセプトのもと、グラフィックやイラスト、Web、動画編集、コピーライトと、あらゆるデザインを社内で一気通貫できるデザイン制作会社。
    ターゲットに伝わりやすい「やさしい」デザインによって発信者のメッセージを最適化し、
    わがクロステリアが制作する映像コンテンツの価値最大化に伴走してくれる心強いパートナーです。

    やさしい動画デザインとは?(クロステリア事例)
    動画デザインで内容を視覚的に補足し、見る人の理解を深める

    ―本日はどうぞよろしくお願いいたします。
    まずはプロジェクトの全体的な流れをざっくりおさらいしたいと思います。

    藤保:郡山市在住の外国人ママに市の子育てサポートやこどもの健康診査について解説する、郡山市の公式YouTubeチャンネル用の多言語動画2本をクロステリアで制作しました。

    こちらで撮影・編集した映像に、linenさん制作の可愛らしいアイコンやイラストが加わることでぐっと親しみやすくなったし、直感的に内容が伝わってわかりやすくもなる。デザインは単なる演出だけじゃなく、理解促進にも大きな役割を果たしてくれるんですよね。

    新藤様:ありがとうございます。そもそも藤保さんがディレクションされる動画はいつも構成や章立てが明確で、映像だけでもストーリーが十分成立しているのですが、今回は自治体発信のコンテンツということもあって情報量が多く、内容も少し複雑でしたよね。

    藤保:プロのナレーションだけでは淡々と説明的になるところ、見る方に親しみを覚えてもらえるよう、案内役は現地にお住いの外国人の方が務められました。ただでさえ煩雑な内容を慣れない日本語で説明するのだから、とても大変だったと思います。あと撮影当日、予想外の雪が降ったんですよ。しかもドカ雪レベル(笑)。もちろんどんな状況下でも現場の総力を結集して対応するのですが、今回は快晴だったロケハン時に予備映像をしっかり押さえていたのが幸いしました。実際撮影は水物というか、どれだけ入念に準備しても本番で何がどう転ぶかわからないし、予算や納期が決まったなかで再撮やエフェクトを駆使してリカバーというのもあまり現実的ではない。

    そんなとき、まさに救世主となるのが「デザイン」なんですよね。撮影中に脳内で動画編集して、映像だけでは弱くなりそうな部分をピックアップしては「ここはlinenさんに頼ろう」と想定しつつ現場ディレクションしていました(笑)。

    新藤様:だから要旨も明確で、ブリーフィングがあっという間でしたよね。構成を確認して、映像の初稿を見て、軽くディスカッションしながら「足りない」部分を整理して終了。あとは社内に持ち帰って、いまある映像をデザインで補完していかに伝わりやすくするか。松本とふたりでさらにディスカッションしながらアイデアを出し合って組み立てていきました。
    主には、説明が続いて単調になるところにグラフィックでメリハリをつけること。説明要素が多く、煩雑で伝わりづらい部分をデザインで明瞭化して理解をサポートすること、ですね。

    松本様:あと、見る人への配慮ですね。ご覧になる方の多くは日本に来られて初めての子育てに戸惑われているかもしれない。その不安を少しでも取り除いて、楽しく子育てができるんだよってことを伝えたい。内容の前に、動画の醸し出す明るい雰囲気でまず一安心できるようなタッチをめざしました。

    藤保:本当に linenのおふたりはいろいろ深く考えてくださって、動画体験を見事にブラッシュアップしてくださいました。ぜひ具体的にポイントを示しながら工夫を追っていきましょう。

    やさしい動画デザインのポイント

    Short(簡潔に)、Simple(簡単に)、Straight(明確に)

    新藤様:動画デザインといっても、基本的な部分は一般的なデザイン作業と特に違いはないのですが、好きなだけじっくり眺めていられる紙面などと違って時間的な制限があるので、パッと見でそれが何かわかることが重要です。細かな部分のこだわりよりも、シンプルにわかりやすいデザインを心がけています。

    松本様:たとえば、0歳児、3歳児など、月齢や年齢の違いをフリー素材の画像で表すのは至難の業ですが、イラストなら大きさや服装、小物の表現などで直感的に伝えることができます。

    行政機関や企業など、多様性を意識したメッセージ発信が多いなか、肌の色やジェンダー、生活文化なども考慮できます。差別にならない、けれど必要な区別はきちんとできる。シンプルな絵だからこそ丁寧に、誰にとっても不快ではない落としどころを常に考えています。 
    あと大事なのは、動画の世界観やトンマナに合わせるのはもちろん、動画の素材以上に目立たせないこと。イラストやデザインはあくまでも情報を補完するものであることを前提に、とはいえ背景とはしっかりコントラストをつけて見やすさは担保するようしています。

    藤保:文化庁などが推奨している在留支援のための「やさしい日本語」というガイドラインがあって、日本語に慣れていない外国人や子どもなど、誰にでもわかりやすく伝わるように配慮した表現として「Short(簡潔に)、Simple(簡単に)、Straight(明確に)」という三つの「S」を挙げているんです。僕は動画制作においても「3S」は大事だなと思っていて、言葉の説明が長くなったり、単調な画面が続いたりするところは途中でメリハリをつけて区切るとか、ポイントとなる箇所は視線が集中するよう演出するとかね。linenさんのイラストやデザインは、まさにそれらを実現してくださったなと。

    新藤様:「3S」は初耳ですが、意識するところは同じですね。ありきたりな表現ではありますが、場所を示す地図にはピンの動きで視線を誘導したり、日本語では当たり前の「遊び場」という表現も外国人の方には瞬時に想像しづらいと思ったのでイラストで補完したり。

    松本様:説明が長くなるところには話の内容を拾ったイラストを配置したり、重要なポイントは一枚絵にしてメリハリをつけながら強調したりしました。あと私自身が子育て真っ最中なので、実体験がヒントになることも多かったです。予防接種の手引きや出産準備のしおりなど、自治体から届く案内は総じて文章説明が多くて、日本人でもなかなか隅々まで読めないというか、読んでも記憶に残りづらいんですよね。
    だから「持ち物」とか大切な要素はアイコン化してリスト表示するなど、視覚に訴える表現でしっかり印象に残るよう工夫しました。

    藤保:わかりやすく伝えるというのは当たり前のようでいて、実はとても難しいこと。今回その裏側にあるさまざまな配慮や工夫を聴かせてもらって、デザインの大切さを学び直せました。当初は映像のみで制作するイメージでしたが、雪などの想定外があったことで結果的によりステキな動画になったことを改めて感謝します。

    松本様:こちらも楽しかったです。動画で自分たちの描いたイラストが生き生きと動くのを見ると感動するんですよね。こんな風に息づくんだと毎回新鮮で、嬉しいです。あと自分のイラストで見る人のハードルが下がったり、説明がわかりやすくなったり。少しでも誰かの役に立てることにもやりがいを覚えます。

    新藤様:イラストレーターとして自己表現を追求する楽しさとはまた違って、パートナーさんとの伴走を通じて自分たちのクリエイションが広がっていく感じがあります。さまざまなご依頼にテイストを合わせながらデザインしていくワクワク感があるし、linenはそれを得意する会社です。今後もクロステリアさんの多様な依頼にお応えできるよう、皆で腕を磨いてお待ちしています。

    ――ぜひぜひ引き続きよろしくお願いいたします! 本日はありがとうございました! 

    <まとめ>

    動画デザインは、メッセージを効果的に伝え、視聴者の理解を深めるための強力なツールです。本記事で紹介したポイントを参考に、デザインの視点を取り入れた動画制作に挑戦してみてください。
    また、動画はいまや個人のSNSや趣味領域だけではなく、企業の採用や研修、自治体や行政も含めた広報・PRなど、多様に活用できる汎用性の高いツールであり、to B/to Cを問わずターゲットと最もつながりやすいコミュニケーションツールのひとつとなりました。

    動画をデザインすることで、数多の動画のなかで選ばれる一本になる。クロステリアでは、よりわかりやすく、メッセージを効果的に伝える「やさしい」動画制作で、コンテンツの可能性を最大限に引き出します。
    ご依頼のテーマや内容ごとに最強のチームを編成して「伝わる動画」を制作いたします。ぜひお気軽にご相談ください。


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