動画翻訳DX|Auris AIで実現する多言語字幕化の最前線【インタビュー】
インバウンド需要の復活や在留外国人の多様化に伴い、まちの至る所で多言語表記を見かけるようになり、動画制作においても多言語対応のニーズが高まっています。
多言語動画といっても、ただ言語を翻訳して字幕を入れるだけでは相手にうまく情報が届きません。文化や習慣の違い、なまりや声のトーン、ボディランゲージなどまで配慮したローカライズで、見る人が自然に受け入れられるコンテンツになっていることが重要。
クロステリアでは、海外在住経験のあるプロデューサーをはじめ、グローバルに活躍するクリエイターやパートナー、世界各国のインフルエンサーがワンチームとなり「伝わる動画」をご提案しています。
そしていま「言語を翻訳して字幕を入れる」フェーズにもまたイノベーションが起きていることをご存じでしょうか?
今回は、福島県郡山市の多言語動画制作プロジェクト で翻訳字幕領域をパートナー支援いただいた注目のスタートアップ、株式会社NUVO代表・鈴木信彦さんにインタビュー
(福島県郡山市の多言語動画制作について)↓
独自開発された翻訳字幕制作ソフトウエア「AurisAI 」のビジネスモデルや動画翻訳のトレンドなどを伺いながら、多言語動画制作時のポイントについてご紹介します。
動画翻訳DXとは?多言語字幕のニーズと課題
ここからはインタビュー形式でお送りします。

(藤保)
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
まずは鈴木さんのご紹介を兼ねて、NUVOの事業内容について伺えますか?
(鈴木さん)
金融業界で 17 年の経験を積んだ後、2020年4月にシンガポールで創業しました。公用語が四言語あるシンガポールでは、テレビをはじめ、あらゆる動画コンテンツにデフォルトで字幕が付きます。とにかく日々膨大な翻訳ニーズがあって、翻訳会社のリソースがとても追い付かない。そのうえ翻訳と字幕入れを別の業者に発注しているので、納期もコストもかさむという状況でした。それで翻訳字幕の業務効率化をめざして開発したのがAurisです。動画をアップロードすれば自動的にAIが文字起こしをして、そのまま翻訳。動画の字幕入れまで一括でできること。英語や中国語に加えて東南アジア圏の言語に対応することで、東南アジアを中心に一気に広まり、2021年11月のリリースから一年ほどで世界110カ国・12万人、現在は190カ国・92万人以上のユーザーを獲得するまでに成長しました。ビジネスのもう一つの軸が、B to B向けの翻訳ソリューションです。セキュリティの問題などでソフトを導入できない企業や、できれば動画編集まで任せたいというご要望を受けて、2022年12月、Aurisを活用した翻訳字幕付サービスを日本で提供しはじめました。
当初から著名なYouTuberの皆さまにご利用いただけたことで、プロダクションや翻訳会社、メディアと口コミを介して顧客層が広がっていき、それらが実績となっていまでは上場企業や官公庁まで幅広くご利用いただいています。
「AI×ヒト」が実現する絶対的高品質
(藤保)
ChatGPTや多種多様なAI翻訳ソフトや類似サービスがあるなかで、それだけ鈴木さんのサービスが選ばれている理由や絶対的な強みというと?
(鈴木さん)
趣味で楽しむYouTube動画やニュース映像、プライベート学習教材など、コンテンツの内容がなんとなくわかればいいというレベルであればChatGPTで十分だと思います。対して、公共機関やテレビ、企業ブランドにかかわる発信や業務マニュアルなど、あいまいさの残る翻訳で間違った伝わり方をすると大問題ですよね。それで専門性の高い翻訳会社に依頼するとコストも時間もかかります。当社のサービスには大きく三つの強みがあって、まずはAurisを使った高精度かつスピード翻訳が可能であること。二つ目は、東南アジアの翻訳家をはじめとした3000人規模のフリーランスプールを構築していることで、AI翻訳をさらにネイティブチェックできる体制があること。AIの活用だけではなく「AI×ヒト」の組み合わせでさらに翻訳精度を上げていきます。そしていちばんの強みは、経験豊富な当社スタッフが責任を持って最終検品すること。言語の正確性はいうまでもなく、企業ブランドや利用シーン、視聴者の感情や文化の配慮など、徹底したローカライゼーションでコンテンツの価値を最大化します。
(藤保)
人的リソースについては、クロステリアでも国内外に約100人の共創クリエイターやビジネスパートナーがいて、案件ごとに最強チームを編成して制作クオリティを高めています。郡山市の動画制作で鈴木さんにベトナム語・タガログ語の多言語化をご支援いただいたのもその一例です。
(鈴木さん)
郡山市の事例でいえば、やさしい日本語を意識するのはもちろんですが、やはり国による文化や習慣の違いへの配慮がポイントになります。たとえば、「子ども包括支援センター」や「ニコニコ予約」という独自の名称については咀嚼して伝える必要がありますし、日本では当たり前の「健診」という言葉でさえ、集団健診のシステムがない国で育った人には意味が通じません。そうした細かい部分も含めた「翻訳プラスα」のサービスが当社の強みになっています。
Auris AIの特徴とワークフロー
~ビジネス価値を高めるユーザーファーストなプロダクト開発~
(藤保)
それら質の高い翻訳がどのように制作されたのか、実際に見せていただけますか?
利用法解説動画
(鈴木さん)
最初に文字数制限を確認します。
日本語は1秒間に3.5文字以内、英字は1秒間に12文字以内など、テレビや映画、ビジネス動画など用途や各社規定、厳守の度合いなどさまざまなので、受託先の基準や指定に応じて設定します。
動画をアップロードして文字起こし。設定した文字数に合わせて訳文を分割し、基準からはみ出た箇所を内容の優先度に応じて適宜調整。改行や句読点の位置や文章の切れ目が不自然ではないかなどを確認します。
原文と訳文をエクセルで比較し、あらゆる角度からさらにチェック!
作成されたテキストはワードのように編集できて、議事録としてダウンロードすることも可能です 。



(藤保)
早い! 大変な作業がシンプルな操作であっという間ですね。
すごいな、Auris。
(鈴木さん)
操作性に関しては、私自身が翻訳字幕制作の実務を熟知していることが大きいですね。どんな作業が大変で何に時間がかかるか、工数を抑えたいポイントなどがわかるので、ユーザー視点でエンジニアに直接Aurisの機能開発の相談や改修の指示出しができます。その繰り返しでアップデートしていった結果、翻訳者が使いやすい、使いたくなるソフトとして支持をいただけているのだと思います。
グローバル展開とインナーブランディングで加速する多言語対応ニーズ
(藤保)
最後に、動画翻訳のDXをけん引されている翻訳家トップランサー・鈴木さんに翻訳市場の最新動向についてお聞きします。クロステリアにも翻訳動画の制作、特に多言語対応を求められる機会が増えてきましたが、やはり多言語対応のニーズは増えていますか?
(鈴木さん)
ニーズとして多いのはいまだ圧倒的に英語ですが、東南アジア地域への企業進出の加速や、インバウンドや在留外国人の多様化によって、多言語対応のニーズは今後も増えていくと思います。あと、社内の会議体が複数言語で行われる企業が増えたことで、取締役会などのフォーマルな場の議事録やスピーチ翻訳などの需要も伸びています。ニーズが多様化した印象ですね。
一方で、AI翻訳の台頭によって廃業していく翻訳会社が多いことも事実です。単純にリソース不足ということもありますが、所属されている翻訳家はそれぞれ専門性の高い優秀な方々が多いのに、求められるコストや納期に対応しきれないなど、ニーズとシーズのミスマッチによって生まれる不幸な事態ともいえる。そこの部分をAurisや当社サービスの提供でもっと支援できればと考えています。
また、クロステリアさんのような映像制作会社との連携や協業を通して、多言語動画コンテンツの付加価値を高めながら、翻訳マーケットを拡大していきたいです。
(藤保)
鈴木さん、本日はお忙しいところありがとうございました!
まとめ|多言語動画でインバウンド施策を加速
多言語動画制作は、国境を越えた新たなビジネスチャンスを生み出します。クロステリアでは海外在住経験のあるプロデューサーとネイティブスタッフ、世界各国のビジネスパートナーがワンチームとなり、プロフェッショナルな翻訳とローカライズによる「伝わる動画」をご提案しています。また、企業のグローバル展開から官公庁・自治体、メディア各種と豊富な制作実績もございます。どうぞ安心してご相談ください!
自治体 映像制作 多言語対応ならクロステリアまで
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